10番目という月

赤毛喋りたおし(笑)

名前 21(R18にご注意下さい)

溜まった精を自慰でしぼりだしてはしていたが、療養中は大略通院以外の外出をひかえこの家にひきこもっていたし、家主たる恋人はかれの退院とほぼ同時に今もって格闘している論文に取り組みはじめたため、ずっと同衾していなかった。
これほどまぢかにいながらアプローチのそぶりすらもあらわさない男にこちらから下手に出たり手管をつかうなど業腹だったから、省吾はいっさい知らんぷりを決めこんでいた。


はためにはあるいはかれらはずいぶんと奇妙な風情にうつっていたかもしれない。


真一を、また自分を、憎まれ口をたたきながらも死ぬほどほしがっているこの青年を自分は利用しているのか?
そうかもしれない……
しかしたとえ論文のことがなく真一とあたりまえの夜をすごしていたとしても、いつかかならず省吾は優太と寝ただろう。


優太の唾液でぬれそぼった指をみずからのすぼまった後孔の外縁にそってなぞりあげ、おしつぶし、つまみあげ、焦らしながらおもむろにこねまわした。
しかしじきにがまんがきかなくなり人差指のさきでとざされた扉をたたいていく。
ほんのすこし穿っただけで総身にびくびくと痙攣がおこり、ながく優美な曲線をかたちづくる黒い睫毛がはばたく蝶そっくりにこまかくふるえ膚に濃い影を落とす。


はじめのうち、あえてかれはよく承知しているなじみの一点を避け腸壁のきわへの愛撫ばかりをくりかえした。
ほんの指先だけのこととはいえこのひさしぶりの異物挿入はひきつれるような痛みと異様な圧迫感とを生みだしたが、ときをおかず慣れ親しんだ快感がせきたてるようにじわじわとあとをおってきた。
男たちにこれまでいくたびも拡げられ穿たれてきたちいさな孔だった。
端正な顔が妖冶にゆがみ弓なりにそりかえった喉から声にならない声がかすれて出た。


「ん、ん……優太……い……い……」
うわごとをくりかえしては淫靡な吐息を寝室のそこかしこに星めかしてばらまいていく。
左手でささえていた優太のびくびくいうペニスと自分のそれとをともにあわせてつかみしめ、ほっそりした指を絡ませ、食いこませ、こすりたて、かるく爪をたてて先端までずるずるとすべらせていくと優太の口からちいさなさけびがついて出た。
まだ制御できるとみじかい句を手許にたぐりよせては痙攣のはしる両手をこきざみに蠢かせる。


これがほしい、このぬれた硬いものでここをめちゃくちゃに突かれたいと省吾のからだがふわりと浮きあがっては沈む。
尻の奥をまさぐる指とまえをしごく指とがいっそうせわしさをましていった。
呼吸もままらなぬほど息が極度にあさくなり、腹部がぶるぶるとふるえる。
いく、いくとせつないよがり声をあげ、血が出るほどぎりぎりと唇をきつく噛んだ直後に省吾はぬけるように絶頂に達した。


だいじな玩具のように握りしめられていた省吾と優太の陰茎の根元にだしぬけにぐっとつよい力がこもり、ああ! とせつない呻吟とともにきつくしぼられた鈴口から濃厚な淫水が下穿きのなかへすさまじい勢いでほとばしった。
一度だけではおさまらず二度三度と痙攣しながらそれは吐きだされる。


寝台のうえでがくがくと優太の腰が跳ねあがり、折れまがったながい脚がはげしく前後した。
泣きはらしたぐちゃぐちゃの頬を上気させ息をあらげてぐったりと優太はみだれにみだれた寝台のうえに横たわった。
膝のあたりにひっかかっていたジーンズは無造作に床のうえに脱ぎすてられている。
いつもかれ自身が磨きたてている、真一の寝室のほかでもない床だった。


ぐっしょりぬれたままの下着を省吾はそろりとはがしてやったが青年はながい手足を投げだしたまま放恣として身じろぎもしない。
胸を上下させながら省吾もようやく息をととのえ、みずからの寝巻の下をはいでしまうと上肢を折って青年のうえにふかぶかとかがみこんだ。


(「名前 22」につづく)


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Author:7月
夕方はきらい。悲しいから。